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ある嵐の夜。
小町は紅に呼び出されたのだが、どうやら恒例の『楽しい遊び』らしい。
これは紅が思いつく限りの悪戯であり、小町にとっては耐え難い『虐め』だった。
お姫様の部屋は、ピンクと白を基調とした眩しい世界だが、小町にしてみれば『悪魔の隠れ蓑』で、あまり見たくない光景だ。
刺繍を施したベッドシーツの上で、紅はピンクのバスローブを羽織り、胡座をかいてた。
家族や他の使用人には見せない、紅のだらしない姿に小町は頭を下げる。
「ちょっと聞いて~!お父様ったら私にお見合いしろって言うのよ?私まだ18じゃない?知らない野郎と結婚なんて無理~!」
何となく分かってしまった。
嫌な汗が背中を伝う。
「ソバカス小町ちゃん?私の代わりにお見合いしてきなさい」
…やっぱり…。
ずっと一緒に居たから、紅の考えはお見通しだった。
厄介な問題を小町に押し付け、紅は観察をして楽しむ。
『楽しい遊び』と称して…。
私はお人形なんだ。
このお嬢様から逃げる事等出来ない。
優しい笑顔で手を差し伸べた悪魔。
「…畏まりました…お嬢様の思い通りに致します…」
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