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『やぁやぁ、ウーラ!ようやく決めたみたいだなぁ!これで我が家も安泰安泰!』
恰幅の良い褐色肌の男性と、その横でニコニコ笑う背の高い美人な女性。
小町は思った。
ウーラは絶対、母親似だ。
夫婦は小町に抱き付いて、至極喜んでいる。
「Welcome my home!」等と英語で歓迎された。
『いやぁ、お見合い相手を連れてくるとは、お前も中々やるじゃないか!』
『そうよ~。本当に心配してたんだからぁ!』
小町には分からない異国語が飛び交う。
ウーラは何時もより増して仏頂面だ。
そんなに嫌なのかと、小町は少し心配する。
『手紙の通りだ。コイツとなら話しを進めて良い。だけど、跡を継ぐ気は無いからな!弟達の誰かにしてくれよ!』
『お前が結婚してくれるなら、もうそれで良いんだ。だが、弟達はお前を頼ってる。助けてやって欲しい…』
『そうよ、兄弟ですもの。跡を継がなくって良いから、手助けしてあげてね?』
円満に進む両親との話しに、ウーラは安堵の息を吐いた。
「…良かった…」
不安な小町に笑い掛けるウーラ。
その表情と雰囲気から、良い内容だったのだろうと悟る。
「ウーラさん…」
「あぁ。心配するな」
小町もようやく肩の力が抜け、疲れから解放された笑顔を零す。
が。
『では直ぐにあちら側に連絡しよう。決まったからには早く進めた方が良い』
『猪鹿のご両親に報告しなくちゃね』
笑顔の両親にウーラは固まる。
『…ちょ…ちょっと待てよ…猪鹿ってどう云う事だよ…』
『あら、契約書に猪鹿のお嬢さんがサインしてるじゃない』
小町は首を傾げた。
ウーラを囲う温度が急速に下がっていくのを感じる。
「…な…っ…何でだよ…小町!どう云う事か説明しろ!!」
…何で…私が怒られるの…!?
何で!?
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