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―数分後―
「わたっ…私…だってあんなっ…う゛っ…古代っ…文字っ…読めなっ…ヒックッ…い…」
小町はオメオメと泣き、ハンカチはびしょ濡れ、目の前にはお菓子やケーキ、金銀財宝の小山が出来ている。
「「オーゥ、コマチィ~!No moer cry…!」」
一から説明され、事情を理解したウーラの両親は、小町の手を取り、優しくなだめている。
『手紙がすり替えられてるな…内部の人間が金で買われたか…』
自分が両親に宛てて書いた手紙ではない。
偽造された手紙の内容は、『猪鹿紅を連れて帰る。彼女となら上手くやっていける』と、綴られていた。
そう、中身は変わっていないが、名前だけがすり替わっていたのだ。
嘗て無い程の怒りで、ウーラは手紙を握り締めた。
「…小町!日本へ行くぞ!」
「…へ?」
ハンカチが二枚目に替わって、母親がまた新しいお菓子を小町に勧めていたその横で、ウーラが告げた。
『おい!そこの二人!俺は猪鹿紅と結婚するつもりは無い!小町と結婚する!だから弁護士を雇うぞ!アイツを呼べ!とことんやってやる!』
両親は激高する息子を見つめ、それからお互いを見やった。
答えたが出たらしく二人は頷く。
『あなた…』
『あぁ…分かってる…これを逃したらウーラは一生独身だ』
『『ウーラ、任せなさい!』』
チンプンカンプンな小町は、親子の会話をボンヤリ眺めて鼻水を啜った。
仕いに何か頼んだ父親と、ブランドの鞄にテーブルの上にあったお菓子や金銀財宝を詰め込む母親。
『ウーラ、日本語で『大丈夫』って、何て言うの?』
『あぁ?「だいじょうぶ」、だ』
膨れ上がった鞄を小町に渡し、母親は笑顔で言った。
「コマチィ~!ダイジョーブ!」
「…あ…あの…」
「ダイジョーブ!」
優しい両親だ。
亡くなった父親や母親を思い出してしまい、小町はまた泣いた。
「…えぐっ…Thank you…う゛ぅっ」
で?お見合いは?
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