たじたじです!

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「…火事があって、圭二さんとお姉様が亡くなった日…私…小夜子さんに連絡したわ。小夜子さん…仕事を直ぐに終わらせて、小町ちゃんを迎えに行くからって言って、先に弁護士を寄越したの。後は小夜子さんが迎えに来てくれたら…私…安心してた。でも…先に小町ちゃんを迎えに行ったのは紅だったわ…家に連れて来て…私は小町ちゃんに本当の事を言う前に…直人さんに追い出されてしまった…。悔しくて悔しくて、暫く泣いて暮らしたの。小夜子さんと連絡を取ったわ。猪鹿の家に小町ちゃんが居るって伝えた…けど…私も小夜子さんも、小町ちゃんに連絡する事は叶わなかった…小夜子さん、今も貴女に会う為に必死で頑張っているの。服部圭二として、誰にも負けない名だたる作家になれば、貴女を迎えに行けるからって」 遠い遠い夢みたいな話し。 だから現実と夢の区別がつかなかった。 小町はやっと目を覚まし、夜行バスの窓から、流れて行く景色を眺めている。 夜の高速道路。 反対車線を走る車。 右車線からバスを追い越して行くトラック。 速く…もっと速く走って…。 私を早く連れて行ってよ。 ウーラさんに会いたい。
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