たじたじです!

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感動のエンディング。 二人は抱き合って泣いて、いつの間にか元通りの雰囲気に戻っていた。 「…次は何観る?」 「えーっと…感動作じゃなくて…楽しいのにしません?」 「あー…俺もそう思ってた」 小町がお勧めの爆笑映画は、ウーラも気に入ったらしく、二人はお腹を抱えて笑い転げた。 「あははははは!おっかしぃ!」 「何だよこれ!馬鹿じゃないのか!?ヒィィィ!腹が捩れる!」 クィーンサイズのベッドに二人は寝そべって、呑気に爆笑している。 流暢にしている場合では無いのに。 ふと、転がった反動でウーラの顔に近付いてしまった。 ドキンと跳ねた心臓。 だが、何故か動けない。 さっきまで笑っていたのに、真剣な表情で小町を見つめる。 遠い何処かで、ひょうきんな主人公が馬鹿をやらかしている声が聞こえた。 近い距離にあるウーラの唇が動く。 …小町…。 長い指が眼鏡を外すから、小町は目を閉じた。 「お早う御座います」 誰かがそう言って、身体を揺らす。 まだ…寝てたい…。 煩わしくなって、小町はウーラの腕の中へしっかりと収まる。 「…誰だよ…鬱陶しいな…」 ウーラも掠れた声で呻く。 小町の髪に頬を寄せて、回した腕に力を込めた。 「ウグドラさん、小町さん、何時まで寝ていらっしゃるおつもりですか?もう昼過ぎですが」 ガバッ!! 一瞬にして目が覚めた。 起き上がって、小町は眼鏡を探す。 「ウーラさん!起きて下さい!昼過ぎですよ!?大丈夫なんですか!?」 ウーラを揺すり、必死で起こそうとする小町だったが、不機嫌な態度で目を開けたウーラの手が、小町の腕を掴んで引き寄せる。 「…小町…」 …何だか…イケない雰囲気に…。 小町は思わず拳骨をお見舞いしてしまった。 「いい加減にして下さい!変態!ド変態!」 「…っ!…お前…後で覚えてろよ…」 「覚えません!」 「…夜は中々大胆だったのに…?癖になったら忘れるなんて無…」 「…ウーラさんの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ!!」 拳骨より強烈な張り手がウーラの頬に直撃したのだった。
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