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ぎこちなく歩く小町に、ウーラは腕を貸してくれた。
「大丈夫か?もしや俺のせいか?」
「…分かってるなら…言わないで下さい!」
お見合い相手と『致して』しまった…。
うわぁぁぁぁぁ!
はーずーかーしぃぃぃぃぃ!
なるべく思い出さない為に、余所見をしていても、頭の中で勝手に再生されるのである。
あぁああぁあああ!!
私の脳みそ止まってよぉぉぉぉ!!
好きになった人と、流れ流されABC。
ウーラさん…力仕事してたから結構逞しい…。
とか
ウーラさん…こう云う時って凄く優しい…。
とか
ウーラさん…何か…格好いい…。
等々。
そう改めて確認し、改めて胸が騒ぐ。
「小町?思い出し笑いか?……………エロい奴だな」
「――――っ!!」
何でウーラさんは普通で居られるんですかぁぁぁぁぁ!
あんな事やこんな事を致しておいて、意外とケロッとしているウーラが憎らしい。
私だけかっ!
エロいのはどっちですか?等と文句を言いたい。
言えば更に思い出しそうで、小町はゴニョゴニョと口を動かすだけだった。
だが、小町に不安が無いのはウーラのお陰である。
『見合い相手だからとか…そんなんじゃない。俺はお前が好きだから、この責任は絶対取る。だからお前は俺を信じて、着いて来て欲しいんだ』
『お前は俺の女だ。誰にも渡さない』
『好きだ…小町…!』
「きゃぁぁぁぁ!」
「…そうかそうか…そんなに嬉しいのか…良かったな小町。俺に感謝して、これからは俺を崇めろよ?」
…だから、何時も何時も一言多いんですよ!
小町とウーラは、人混みの中ではぐれないように、しっかりと腕を組んで歩いた。
中々上手く進めない道のりでも、絶対に手を離さないと、二人は心の中でそう誓う。
きっと、お互い同じ事を考えているのだと分かったから、楽しそうに笑い合った。
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