不思議です!

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ウーラは畑で野菜を収穫していた。 籠には熟れたトマトと、小さな南瓜。 「こんだけあれば良いだろう…」 しかし可笑しい…。 小町は長谷部小夜子と会った筈だ。 猪鹿の家に挨拶に行き、全てを済ませてここに来た。 だが、どことなく暗いのである。 「ウーラさん」 呼ばれて振り返ると、やはり落ち込んでいるらしき表情をした小町が立っている。 「…アイツに何か言われたのか?」 「…いいえ…お嬢様はちゃんと謝って下さいました…私を自由にすると…」 ウーラは立ち上がり、膝の泥を払う。 見下ろした小町が、何時もより小さく見えた。 「…何があったのか、詳しく聞こう。その様子だと、日本で何かあったんだろ?」 図星らしい。 小町はウーラに抱き付いて、泣きながら地団駄を踏んだ。 「ウーラさぁぁぁん!…私…私……素知らぬフランス人からプロポーズされたんですよぉぉぉ!訳分かんないのにぃぃフランス人怖いぃぃぃぃ!」 「…なゎぁあにぃぃぃ!?」 『…小町…小町なのね…!』 空港にて、感動の再会を果たした母と子。 何だかむず痒くて、小町は抱き締められた腕の中で困っていた。 自分を産んだ母親は中々の美人で、とても似ているとは思えなかった。 だが、紛れもなく、小町の母親なのである。 そこまでは良かったのだ。 『ヴォンジュー!』 鼻高々のフランス人が、満面の笑みで挨拶をした。 …誰? 『あぁ、彼は私の友人の息子さんよ。私を心配して着いて来ちゃって…』 あー…そうなんですか。 等と流暢に思っていた。 迂闊だったと後悔している。 二人はフランス語らしき言葉で会話をし、小町は以前アラブに言った時の再来だと感じていた。 嫌ーな予感がする。 『小町を気に入ったみたいね。彼はジョルジオと言うの。仲良くして欲しいって』 ジョルジオと言うフランス人の青年は、甘いマスクで小町に微笑む。 彼は小町に近寄り、突然身を屈めた。 …チュッ そうだ。これは挨拶なんだ…フレンドリーな挨拶なんだ…。 キスは挨拶、挨拶…。 挨拶って、口と口でしたっけ? 『…いやぁぁぁぁぁぁ!変態ぃぃぃぃ!』 ついうっかり、手が出てしまった。 『うっかり』より『しっかり』である。
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