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「ジョルジオ・フォン・スケルツォ!?フランスの大富豪じゃない!」
紅はどうやら知っているらしい。
この世に大富豪と言われる人達は何人居るのだろうか。
小町は不思議だった。
右隣に財閥のお嬢様。
左隣にアラブの大富豪のお坊ちゃま。
口説かれたのはフランスの大富豪関係のいかがわしい男。
「…あの…プロポーズされたって言いましたけど…私は丁重にお断りしましたし、そんな大した事じゃ…」
「大した事よ!大問題だわ!」
紅が慌てている様子から、猪鹿家よりも『上』なのだろう。
ウーラは気にしていないらしく、小町の怒りから解放され、酷く咳き込んでいた。
「…ゲホッ!…ウェェェ…」
「ウーラさん、ウーラさんはどう思われます?」
「…ま…まぁ…俺の家と同じ位だと思うが…ゲホッ!ゲホッ!…あー…ジョルジオは…しつこい奴だからなぁ…大学にも着いて来た奴だし…」
「…相当好かれてるんですねぇ…」
「気持ち悪い事を言うな!でも困ったのは、狙われた小町だな。長谷部小夜子とスケルツォの家が親しい関係となると、小町との結婚は大賛成だろうし」
嫌だ…絶対に嫌だ。
小町は心配になってウーラのシャツの裾を掴む。
分かった様に小町の頭を撫で、ウーラは微笑んだ。
『大丈夫』
ウーラは何も言っていないのに、小町の心に伝わってくる。
以心伝心と言うテレパシーに、小町も安心して頷いた。
「…やるか…」
「…えぇ。勿論やるわよ…」
ウーラと紅は、小町と云う存在で通じているらしい。
何だか面白いが、『やる』とは何の事だろうか。
「暫し休戦だ。あの鼻持ちならないフランス人め…小町は渡さん!」
「そうね…小町を守る為の協定よ。破廉恥なフランス人…見てなさい…痛い目みせてやるわ」
二人は海に向かって意味も無く叫ぶ。
やっぱり、二人は面白い。
小町は可笑しく思わず笑った。
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