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小町と小夜子は三ツ星レストランで些か不安な食事をしていた。
それは何故か。
「あの…どうしてジョルジオさんのご両親がいらしてるんですか…?」
「小町にどうしても会いたかったからって…私、知らなかったからビックリしてるのよ…」
コソコソと耳打ちをする二人。
目の前にはスケルツォ夫婦とジョルジオが笑顔で話しをしている。
何か…嫌な予感…。
すると、小夜子に話しを切り出したジョルジオとその両親。
小夜子は困った様な顔をして、それから小町を見た。
「…小町…貴女、ジョンと結婚するの?」
「…はぁぁぁ!?何で私がこんなフランス人と…する訳ないじゃないですか!」
憤慨していても、あちら様はにこやかで、言い返すものの小町の意見は無抵抗に終わる。
もう…嫌ぁぁぁぁ!
ジョルジオから渡されたプレゼント。
箱を開けば上等な着物だった。
返せば困った顔をして押し付ける。
小夜子は日本語に訳してくれるが、早口でまくし立てる三人のお陰でペースは遅れるばかりだ。
疲れ果てた小町は、逃げる様にトイレへ向かう。
広いトイレで溜め息を吐き、居たたまれない涙を拭う。
「小町!そこに居るんでしょう!」戸を叩くのは紅だった。
飛び出すと、着飾った紅が安心して笑顔を零した。
「お…お嬢様ぁぁぁぁ!」
ようやく現れた仕掛け人に、小町は泣きついて救いを求める。
「あぁ…小町…可哀想に…私が何とかしてあげるからね」
何とも頼もしい限りである。
だが、その笑顔が若干黒いのは気のせいだろうか。
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