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「…ん……」
ゆっくり開いた視界に、寝ぼけた頭で良く考えてみた。
綺麗な海。
白い浜辺。
流木に、椰子の木。
起き上がると、真っ赤なドレスで不釣り合いな場所に居ると理解は出来た。
青い空に厚い雲が、地平線から立ち上る光景。
夏?あれ?春じゃなかった?
まるで夏の空だ。
そう云えば、とても暑い。
ドレスがまとわりついて、気持ちが悪いのだ。
立ち上がり、砂を払って周りを見渡すが、やはりどう考えても「お見合い」から遠ざかっている。
うーん…もしかして…。
気を失った理由を良く良く考えてみる。
船が事故に遭った衝撃で気を失った→運良く助かったが無人島に流された→今に至る。
んなまさか。
ドレスに目立った汚れも無く、濡れてもいない。
まさか…攫われたとか…?
見合い相手を狙う悪の組織に捕らわれて、人質になった…とか?
「…我ながら素晴らしい想像力…」
等と言ってはいられない。
海とジャングルしかない場所でどうするか……。
「…とりあえず…探検してみよう!そうしよう!」
ハイヒールのミュールを放り投げ、ドレスを引きずりながら、浜辺を歩き始めた小町だったが、歩けど歩けど浜辺か岩場しか無い。
どれくらい歩いたか、気付けば元居た浜辺に戻っていた。
「…小さい島…」
屋敷の庭と変わらない。
いや、あの庭の方が広いかも知れない。
「陸に繋がる道も無いし…海に囲まれてる…孤島…?」
アハハハハ…
「何でぇぇぇぇぇ!?」
何でぇぇぇぇぇ…
何でぇぇぇぇぇ…
何でぇぇぇぇぇ…
小町の叫びは寂しく響くだけだった。
「遭難!?」
でも、お見合いからどうして遭難したの?
わっからないなぁ…。
悩んだ所で仕方無いので、小町は浜辺に座り、どうするべきか考えてみた。
「どうしようかなぁ…」
遭難したらどうすれば良いんだっけ?
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