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不思議だった。
ウーラの言葉は魔法の様に、小町の頭の中に響く。
「例えば、俺と小町が二人で、たった二人だけの文字や言葉を作ったとして、互いに手紙を書くとするだろ?大切な手紙だから、特別な何かに記すとする。例えば…」
「水晶とか、宝石とか?」
「あぁ、それは良いな!二人でそれに手紙を書く。絵を添えても良い。二人だけに分かれば良いんだ。その手紙が、何百年、何千年、何万年と長い月日を得て、何時か見つかる。考古学者は考えるんだ。この文字は一体何だろってな」
「それがオーパーツが作られた理由だったら、ウーラさんは昔の人に随分振り回されてますね?」
ウーラは笑う。
そうだな、と呟いて、楽しそうに。
この世界は不思議に満ち溢れている。
もしかしたら、何気ない事で出来てしまった加工品が、未来でオーパーツ、場違いな加工品として騒がれるかも知れない。
「…私…歴史とか、遺跡とか…良く分かりません。でも…楽しいと思います。ウーラさんが…居てくれるなら…きっと、楽しいに決まってます!」
案内人が居る。私の隣に。
世界は不思議。私と貴方が出会えた事。
小町はそっと、ウーラの手に触れた。
反応した手が、小町の掌を優しく握る。
「…小町…お前が退屈だって言うなら、俺がどこまでも連れて行ってやる。だから…」
繋いだ肌の色も違う。
生まれた場所も、育った場所も、二人は違う。
まだお互いの考えも良く分からない。
「…結婚してくれ。俺の傍に居て欲しい」
これから理解して行けば良い。
人生はまだ長いのだ。
オーパーツの謎を解く様に、二人は何時か、理由を知るのだろう。
「…はい!私と…結婚して下さい!」
お互いが手を取った理由が…。
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