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予期していた『ウーラのセンスの悪さ』は、やはり的中してしまった。
「…私…こんな趣味は…」
ピンクに白のレース。
沢山のリボンにパールのネックレス。
短めのスカートにベッドドレスと、これまたレースがたっぷりとしたピンクの日傘。
「昨日見掛けたんだよ。そう云う格好した女が居てな、中々良いと思ってどこに売ってるのか訊いたんだ」
こう云う格好…ロリータって言うんですよね…?
服が無いとなると、『これ』を着るしかない。
紅になら似合うだろう。
ウーラの趣味を疑わざるを得ない。
ウーラをバスルームに押し込み、小町は渋々と服に袖を通し、軽く髪を巻き、薄く化粧を施す。
ソバカスが…眼鏡が…ハァァァ…似合わないのに…。
「小町ーっ!早くしろーっ!」
バスルームの戸を開けてやると、肩を怒らせたウーラが睨んでいた。
が…。
「…お前…」
小町の姿をまじまじと眺め、感心した様に頷いた。
「可愛いな…」
ど こ が ?
「私は普通のシャツにジーパンで良いんですよ!こんな格好、可愛い方が着る物です!ソバカスあるし…眼鏡だし…」
「…また泣くのか…」
瞳が潤んでいる小町を抱き寄せると、ウーラは耳元で囁く。
「自信持てよ」
「ウーラさんは良いんですよっ!分かった様な事…うぅぅぅ!」
地団駄を踏みながら文句を並べる小町に、ウーラはクスクスと笑うのだ。
「お前…どうしようもないとジタバタする奴だよな?可愛い可愛い!」
「馬鹿ぁぁぁぁぁ!何で可愛いのか詳しく説明して下さいよぉぉぉ!」
「あぁ?俺が可愛いと思ったからだよ!」
もう…っ!ウーラさんは俺様な人なんだから!
何をそんなに急いでいるのか、ウーラは小町の腕を引っ張り、足早にホテルのロビーへ向かう。
良く分からないまま、タクシーに乗り込んだ。
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