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結婚は人生の墓場だとか、浮気だとか、離婚だとか、幸せな事ばかりではない。
人生の半分以上を過ごすのは、紛れもなく「アカのタニン」と言う異性なのだ。
上手く行かない夫婦だっている。
耐え偲ぶ事もあるだろう。
後悔するかも知れない。
喧嘩に泣き疲れ、眠ってしまう夜があるかも知れない。
「小町!遅いぞ!」
ウーラはぶっきらぼうに声を荒げた。
「小町が遅いから予定が狂う!」等と、文句を言っている。
彼は荒い性格であるし、思った事は口にする。
機嫌が悪いと顔に出るし、口も悪い上に余計な事ばかり言う。
喧嘩っ早く、神経質で物に良く当たる。
たった1ヶ月ちょっと、傍に居て分かった事。
だが、彼がとても恥ずかしがり屋で優しい人だと小町は知っていた。
ロマンチストで、夢を語る時は、少年の様なキラキラした瞳を向ける。
純粋で、強引で、諦めを知らない。
「おい!早く行くぞ!」
小町の荷物を持ち、身体は既に次の場所へ向かっている。
「…せっかちですね…」
ポツリと呟いて、小町は溜め息を吐いた。
「あぁ?何か言ったか?」
聞こえていないウーラを余所に、小町と小夜子は目を合わせて笑った。
これからどれ位、彼を知るのだろうか。
不安が無いとは言い切れないが、楽しみでもある。
小町は立ち上がり、小夜子と別れ、先を急ぐウーラの三歩後ろを歩きながら、可笑しくて笑った。
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