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今から昔、千年以上も昔に一人の童子がおりました。
その童子は人には見えぬ者を視、また会話も出来ました。
「かあさま。あの者達は何をしているのですか?」
童子が指を差した場所には誰も居りません。
母も父も普通の貴族でしたが、童子と同じく視える者ではありませんでした。
「童子や。そなたには何が視えるのかえ?」
母が尋ねると、童子は一本の立派な木を指差しました。
「人が・・・。あの木の下に人が居りまする。それと、人為らざるモノも。」
それは化生の者達と呼ばれる魑魅魍魎の類でありました。
「童子や、それは視る事はならぬもの。決して他の者の前では口にしてはならぬぞえ。」
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