No.14

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今、杉浦との距離は3メートルほど どうかこっちを向かないでくれと願いながら近づいていくとようやく、手を伸ばせば届く距離まで近づけた 兄貴から教えてもらった気配を消して相手に近づくのが今初めてやくにたった ドクドクドクドクドクドクドクドク 俺の心臓が早く鳴る その時ある不安が頭をよぎった 俺は本当に 本当にコイツを殺してもいいのだろうか コイツを殺した所で何になると言うのか… コイツには確か子供がいたはず イヤ…何を迷っているんだよ コイツは俺の両親と兄貴を… 俺はバットを強く握り直した そして 高く上げて バコンッ!! 肩を思いっきり殴った 「うっ…」 杉浦はその場で肩をおさえしゃがみこんだ 手が軽く震える なにを震えてるんだよ もうあと戻りはできないんだぞ 俺は強くバットを握った 杉浦は恐る恐る俺の方を向いた 俺は一回深呼吸をした 「クククッ…痛いでしょ?でも俺の痛みに比べればそんなの蚊にさされたようなもんだよね?」 今、声震えてなかったよな 俺は無表情のまま杉浦を見た すると 杉浦の顔がどんどん恐怖に恐れた顔になっていくのが見えた 「湊クンっ…どうして…動けているんだ」 よし。行ける。俺はコイツを殺せる 「あぁ~あんな痛み、たいしたことないから。俺を閉じこめておくなら足を切るくらいしなきゃ」 実際はめちゃくちゃ今痛いんだが…コイツにもっと恐怖心をあたえてやらなければならない じゃなきゃ。なんのために肩を狙ったんだ 頭だと即死になるかもしれないからだろ ジワジワと痛みつけるためだろ 「俺…今からアンタを殺すから」 自分に言い聞かすように俺は静かに言った 。
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