No.14

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ダメだ 筑音の事を考えれば考えるほど心がズーンと沈んでくる 今は考えないようにしよう 先輩に気を使わせちゃダメ出し そう決意して深呼吸をしようとすると 「そうだ。天川」 宇佐美先輩は軽く腕時計を見て話しかけてきた っていうか、今時腕時計なのか…なんて思いながら俺は先輩の顔を見て「はい。なんですか」というような顔をした 「お前のお兄さん、退院して家に戻ったぞ」 「えっ!マジですか」 良かったぁ 兄貴が退院 「て、事は記憶は戻ったんですか?」 「いや…それはまだ。」 そうだよな。 俺はつい下を向いてしまった 「まぁ…。いずれ戻るから。今は自分の心配だけしてろ」 そういいながら先輩は俺の頭をなでグシャと髪をかき乱した どこに記憶が戻るという保証があるのかとかいう思いがあったが、頭を撫でてもらってる安心感の方が増していたから ただ、ただ、顔を赤らめて下を向きながら小さく頭を縦に振ることしか出来なかった 。
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