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「…あっ…ああ……。」
もはや言葉は出てこなかった。
出てくるのは、悲しみを溶かすように次から次へと流れ落ちる涙だけだった。
僕は忘れない。
たとえ君との思い出を、
声を、温もりを、
君という存在の全てを忘れたとしても。
僕は忘れない。
僕には妻がいたことを。
そして、君を世界中の誰よりも、深く愛していたことを。
開いた手には、
僕が渡した2つの指輪が置かれていた。
END
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