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目覚めたのは、見知らぬ部屋。
重厚な木で作られた高い天井、大理石の床、高そうな絨毯。
柔らかいベッドは透希の他に二人は寝られるのではないかと思われる程に、広い。
備え付けられた調度品はどれもこれも高級なアンティークで、目を見張る美しさを保っていた。
「どこだ、ここ」
てかなんで、こんなとこにいるんだ。
透希は突如として目に入った光景に唖然とする。
眠った記憶はない。
移動した記憶ももちろんない。
恐る恐るベッドから降りると、彼は部屋を見渡した。
部屋はとても広かった。
中央に置かれたテーブルと椅子には見事な彫刻が施されており、皺一つない真っ白なテーブルクロスがかかっていた。
その上には見事な薔薇の華が生けられた花瓶が置かれ、芳しい香りを放っている。
壁に立てかけられた姿見は丁度透希の背丈で、それと対極に位置する本棚は天井ほどの高さがある。
分厚い本がぎっしりと詰め込まれていた。
窓ガラスには曇り一つなく、少しだけ開いた窓から入る風に、レースのカーテンが揺れる。
ベッドの傍に置かれた衣装箪笥は金で縁取られ、様々な衣装が並べられている。
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