王子様と王子様の薔薇の花

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王子様には‐不思議‐と云う言葉が付き纏います。 髪も瞳も、王様と王妃様、両王族達の中に同じ色の者は居ません。 かといって、髪質は王様、目の形は王妃様にそっくり。 仕種や、ふとした時の表情などはふたりの息子だとよく分かります。 不思議な老女に変えられた木の枝の剣。 魔法のような話です それと、実はもう一つ不思議が有りますが、王子様は不思議とは思わないので、今はまだ不思議にはなりません。 不思議と言えば、この王子様の薔薇は誕生からして不思議なのです。 王妃様がお姫様だった頃に、王子様だった王様と出会い、 龍が守る茨の話が、おふたりがより歩み寄るきっかけとなったのです。 王妃様は毎日、龍が守る茨の夢を見ることによって、同じ薔薇を作り出したい気持ちを、導き出されます まるで、王様と王妃様はこの王子様の薔薇を生み出す為に引き寄せられたと考えられます。 そして王子様の誕生日に花開き、彼の花となったのも不思議。 いくら王妃様が花憐の名を欲しいがままに品種改良が得意でも、夢と全く同じ薔薇を生み出すには、手掛けた月日が短すぎます。 王子様ご誕生には何かの意味が有る。 御祖父様の先の王様はそう思うのです。     
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