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「ねぇ御祖父様
ぼくのこの薔薇は、御祖父様が今お話ししてくれた茨の花と同じなんですよね」
王子様は用心深く話します。
「やっぱり、
ぼくは一度、その国へ行った方が良いですか?
何だか変な気分です。
誰かが、ぼくに気付いて欲しいのかと‥
不思議な事ばかりなのは‥
よく、分からないけど‥」
王子様は上手く言葉が纏まらないのか、それとも言い出せないのか先の王様をチラチラと窺います。
「王子はまだ子供じゃ。
誰も迷惑にもならんだけの体力と知恵と責任を持たねば、国を出る資格などない。
‥私の息子らに似て放浪癖など出たら大変だしな」
先の王様はウインクして王子様を笑わせます。
「さて、陽も陰ってきた。
ディナーには薔薇の料理と、薔薇を入れた風呂を用意しよう。
王子の薔薇尽くしだ。
摘んでも摘んでも一年中咲く不思議な薔薇に漬かれば、長生きするかもしれんぞ?」
大好きな御祖父様が長生きしてくれるのなら、こんなに嬉しいことは有りません。
体中が真っ赤になっても良いと思いました
王子様はいっそ、
この薔薇になりたい。
この薔薇のように
人の為に強く、気高くなりたいと思いました。
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