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駅近くまで猛ダッシュで来た。
曲がろうとした時に、角から出て来た人と鉢合わせしてしまった。
百合は避けきれず、その人に突撃してしまった。
その弾みで相手の帽子が取れ、百合がその人の上に乗る形になってしまった。
まぁ所謂、押し倒した様な形状である。
百合は突撃した事に動転し「ごごごごごめんなさいっ」とカミながらも謝った。
相手の人は「クスッ」と笑い「大丈夫ですよ」と言ってくれた。
そして、百合はやっと、自分が上に乗っていた事に気付き「すみませんっ。重いですよねっ」と言い、慌てて退いた。
相手の人は「プッ」と吹き出して笑い「いや、そんなこと無かったよ」と言ってくれた。
百合はそんな彼を見て(やっぱり重かったんだ)と思い、帽子を拾い「すみませんでした……」と謝まりながら差し出した。
彼は「ありがとう」と言い、帽子を受け取り、目深に被った。
周りに居た人達が、百合達を見て、何やらざわついていた。
彼は立ち上がり「じゃっ」と言い、去って行った。
それから百合は電車に乗って帰った。
彼の顔は印象が強かったのか、良かったのか、百合の頭の中にインプットされていた。
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