再会

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すべった。 六年ぶりの再会がこれか? いやいや、まどかだって 『ギリギリなのに当ててんじゃん』 とかあってもいいじゃん。 最悪 『つまらない』 でも良かった。 この責められてるような沈黙が辛い。 「ごめん」 とりあえず、謝っとこう。 「いいよ」 「うん」 「……」 「……」 何か話題ないのか! 情けない…… 俺は馬鹿だ。 六年間も連絡しなかったのに 今更昔みたいに戻ろうなんて。 「ねぇ」 「な、何?」 やべ、声が裏返った。 「起きたら隣に可愛い女の子が寝てたら悪戯とかしたくなるもんじゃないの?」 「は?」 「チューとか」 考えてる間にお前が起きたんだろ! そんな事言えないけど。 「人によるだろ」 「六年ぶりでも?」 「おいおい、狙ってたんか?」 「起きた時の反応見たかったんだけど、私も寝ちゃってさ」 「趣味悪いなぁ」 そんだけ言うならやっときゃ良かったか? 「ごめんごめん。でも、懐かしいね。将太とこの縁側で話すの」 「ああ」 「もう六年だよ」 「……ああ」 やっぱり言われるよな。 「朝学校行ったら将太が居なくて。先生から鈴木君は家の事情で引っ越しましたって」 「……」 「あの時は一日中泣いちゃって。辛くて、心配で」 「うん」 「いつ連絡来るかなって。毎日電話を気にして、ポストもチェックして」 「……」 「一年間もそれ繰り返してさ」 「……」 「あはは、今考えるとやっぱり馬鹿だよね。一年間って」 「……」 「高校生になって、将太の事忘れようとしてた。新しい出会いもあるからって……」 まどかの声が震えてる。 「二学期の始業式でサッカー部の事知って、その時初めて将太が帰って来てること知ってさ……」 「私って馬鹿だよね……2人の距離は変わらないって信じてたから……やっぱり馬鹿……」 まどかの瞳から涙がこぼれる。 俺はまどかの六年の重さに何にも言えなくて 「うっ……ううっ……」 2人だけの縁側にまどかの嗚咽だけが響いていた。
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