変わった日常

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変わった日常

「楠木まどかと付き合ってんのか?」 「ブッ!!」  陸の唐突な質問に思わず、飲んでいた牛乳を吹き出してしまう。 朝食はあんパンと牛乳決めている俺も、親友が牛乳まみれになっているのは見るに耐えない。 むしろ引くわ。 「明日から牛乳はやめておくよ」 「ああ、出来たらそうしてくれ」  顔にかかった牛乳を拭きながら、少し怒気を帯びた声で返してくる。 その姿は少し滑稽だ。  まぁ、そんな事よりも、もう一度質問を確認しよう。 聞き間違いかもしれないし。 「で、何よ?」 「だから、楠木まどかとどーなってんだっつの!」 「な、何もねぇよ」 「じゃあ、今日も一緒に登校して来たのはどういう理由さ!」 「そりゃあ幼なじみだし、家近いし。ほら、あり得るだろ?」 「嘘だ!納得いかねぇ!」  陸が言うように、俺は下駄屋に行ってからの一週間はまどかと一緒に登校してる。 少しでも一緒にいたいと思っての行動だ。 ただ…… 「付き合ってない!!」 これが事実。 あの流れから、キスくらいは! と思ったけど あの日は何もなく帰宅。 それ以降、下駄屋に行っても、タバコ吸ってくだらない話して終了。 まったく進展がないのだ。 お互い、仲のいい幼なじみを抜けられない感じ。 はぁー、どうにかならないかなぁ……。 というか、まどかはどう思ってんのかなぁ? 「ほ、本当なのか将太」 陸が確認してくる。 その姿がいじらしい。 「ああ、親友に嘘はつかないよ」 「しょ、将太ぁ」 「さぁ来いよ。俺にはお前しかいない!」 「しょーたぁぁぁぁ!」 ガシィィィ 俺たちはキツく抱きしめあい、回り出す。 「アハハハハハ」 「アハハハハハ」 そして僕達は夢の中に…… 「おーい、将太ぁ」 クラスメートが呼び掛けてくる。 「何だよ、良い所なのに」 それに便乗して陸も 「そーだぁそーだぁ」 ナイスコンビだぜ! 「何してんだか。まぁいいけど、A組の楠木さんと児島さん来てるぞ」 「え?」 思わず、陸とハモる。 見てみると 入口にまどかと児島さんがいる。 『うわぁ……』 と、聞こえそうな表情と冷たい目のおまけ付きで。 「ははははは……」 強制的に現実に戻された俺達は、抱きついたまま笑っていた。 ……泣いてもイイデスカ。
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