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楠木まどか
楠木まどか
小学校の頃は活発な女の子だった。
スポーツもできたし、勉強もできた。
まさにスーパーガール!みたいな。
みんなの憧れだった。
まどかと俺は物心ついた時から一緒にいた。
俺の母はまどかの母の先輩で、家が近いから昔から家族ぐるみの付き合いをしていた。
まどかの家は昔からタバコ屋を営んでいて、よく母は俺を連れてまどかの家でまどかの母と話をしていた。
それで、まどかとはよく一緒に遊んでいた。
「将太ってサッカー上手いんだね」
記憶に残っているまどかが言った一言。
俺はこの一言でサッカーを始めた。
ただ単純にまどかにカッコいいところを見せたい。そんな理由。
小学校のチームではゴールキーパーをさせられていた。
最初は目立てないし、いい所が見せられなくてイヤだった。
しかし、
「キーパーってカッコいいよね。唯一の存在って感じで。将太の後ろにボールが行く気がしないよ。似合ってるよ、がんば!」
参った。
こいつには適わないと思った。
まどかがいなかったらサッカーはやめてた。
間違いない。
今思う好きって言う感情とは少し違うのかもしれないけど、この頃はまどかに恋をしてたんだと思う。
そして、母が亡くなって祖母の家に行くとき。
急な事だったので別れの挨拶ができずに発ってしまった。
高校生になって戻って来てから、まどかと同じ高校だったっていうのは驚いた。
でも、小6の事が後ろめたくて関わらないようにしてた。
……今の今までは。
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