下駄屋

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ガラガラガラ 下駄屋の中に入ると昔と変わらない少し埃っぽい懐かしい臭いがした。 「将ちゃん、奥の和室に行っててー」 「ゆかりさん、別にいいっすよ。俺、このプリント……」 「いいから、いいから。お菓子出すから待っててね」 俺の話聞いちゃいないけど…… 「はーい」 そして、逆らえない俺。 俺の意志弱っ! お菓子に釣られたみたいになってるけど……。 そうじゃなくて、 まどかと話せるかもしれない。って期待があったから。 でも、正直怖い……。 「おまたせ~」 「あ、すいません」 ゆかりさんがお菓子とお茶を持ってきてくれた。 「ほんとに久々だねぇ。将ちゃん元気にしてたの?」 「まぁまぁっすよ」 「何それ。まぁ、元気ならいいんだけど」 「そういうゆかりさんは昔と変わらずキレイっすね。まだまだ若くて!」 「何?お世辞のつもり?それにまだまだ若くてじゃなくて若いの!」 やべぇ、言葉間違ったか? 「ま、そんな事言えるなら変わってないみたいだね。心配してたんだよ?」 「すいません……」 「いいよ。来てくれたんだし、こうやって話せてるんだしね。で、今日はどうしたの?」 そうそう、忘れるとこだった。 「あぁ。ま……、楠木が今日休んだからその分のノートとプリントを渡してくれって言われたんすよ」 「そうなの。ありがとね。じゃあ、私がまどかに…。あっ!」 気のせいだと思うけど、ゆかりさんの目が光った気がした。
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