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「何か用か?」
そう福山に声をかける。
「川島君、教えて欲しい事があるの…狩野君の過去の事で」
福山は真剣な表情で俺に話しかけた。
「何だよいきなり唐突に。だいたい優哉の過去は優哉の家に行ったときに話したじゃねえか」
「それは分かってるけど…」
「そもそも優哉が居ないんだから何話しても…」
「そんな事分かってる!!」
福山の声に俺は思わずたじろいでしまった。
「そんな事分かってるよ。でもそれでも狩野君の事を少しでも知っておきたいの…」
その言葉は福山の心の悲痛な叫びのように聞こえた。
(優哉、お前は幸せだよ。こんなにお前の事を思ってくれる人が居るんだからな)
「分かったよ。俺が話せる事は全部話そう」
「ほんとに!」
「ただ長い話になるから明後日の日曜日に俺の家に来てくれないか」
「分かった。日曜日ね」
俺と福山は日曜日の午後1時に俺の家と約束してその日は別れた。
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