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「えー! するにゃん☆とかやっといて結局しねーの!?」
「掘り返さないでー! こよみん彼氏を止めて!」
「……こよみんって言ったから知らないっ」
彼氏という言葉に照れたのか(つくづく可愛いなこの子!)、赤らんだ顔でプイッと視線を逸らした。
「あぁあ~嘘! 嘘ですこよみ様!」
ぎゃいぎゃいと騒いでいたら(主にあたし)、不意にお腹に何かが巻き付いた。
そのままグッ、と後ろへと引き寄せられて、背に軽く当たるそれからは微かに鼓動が伝わってくる。
……鋭矢、だ。
「ったくよー。メイドやるなんて言うから結構苛ついてたのに」
「何でよ?」
「お前ね。普通好きな女がメイド服を他の男共にお披露目するの気にしない男いるか?」
や、あたしは女なんで……。
あ、でも鋭矢が燕尾服に身を包んで他の女を口説いてたら……。
……嫌だな、うん。
「まぁ胸は平らだけど」
「……」
取り敢えず無言で足を踏みつけてやった。
関係ないでしょうがばかたれ。
「んまぁともかく。あたしは多分菓子作り。良かったら食べに来てよ」
そう言ってあたしは、携帯で時間を確認するとさっさと帰路に着いたのだった。
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