序壱

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 彼のTRにはオプションとして長距離レーダーが装備されている。そのため、いくらか詳細な情報を得る事ができた。 「戦車16…フェンク4…」  TRを押し出すには十分な数だ。そのうちの一個小隊がシェイド機を狙い、回頭する。 「…いくぞ」  ライドールの本領発揮である。脚部のふくらはぎに当たる部分の装甲が割れ、スラスターが顔を出し、火を吹いた。後は踵のキャタピラと足の裏のローラーで加速に乗るだけだ。  SFならでは、ライドールはグングン加速する。 いくら12メートル級とはいえ、時速150キロ以上のスピードで地面を駆けられては戦車砲も当たらない。  シェイドは、更に機体を加速させて市街地に突っ込んだ。 市街地を巨人が疾走する光景はシュールだ。 「うおっ、撃つな!」  グラードが怒鳴る。 市街地に損害が出ては困る。 「えぇい馬鹿め!待機させてあるTRを出せ!」  手際がいいのだろう、数秒後にはグラード側…ヴィシュ連合軍側の旧式TRが配置についた。 「邪魔だ…!」  シェイドは、敵の旧式が配置に着いたと見るや、カマしをかけにいった。 ライドールが跳躍し、ビルを乗り越えた。 いきなり目の前に現れたライドールに敵は呆気にとられる。  ライドールが左手に保持するサブマシンガンが弾丸をブチまけ、旧式のTR-02テストールは、あっという間に破壊された。 「馬鹿なぁ!?」  グラードは、手にしていた指示用マイクを握りつぶす。 これで騒音に困ることはない。 そうこうしている内にシェイド機が高射砲施設に肉薄し、ライドールの右手に装備したグレネードランチャーを遠慮なくブチ込んだ。 「ああぁぁーーっ!何てことだァーーッ!?」  マイクが無くても騒音を撒き散らす迷惑なオヤジである。 だが、彼の反応で高射砲がどうなったか、お分かりだろう。 「ぬぅぅ…構わん、撃ちまくれ!」
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