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「牽制しなくていーの?」
康人の言葉に。
「実害が出るまでは野放しに
しとくよ。
まぁ手を出したりしたら
ちゃんと躾をしてあげる。」
「こえー。」
「早く教室戻らないと授業が
始まるよ。」
にっこり笑ってやった。
不安なわけじゃない。
でも自信はあるんだよ。
だって、見た?
あの可愛い反応。
腕をひいて下の名前で
呼んだら。
少し照れたように俺を見て。
離したら少し悲しそうで。
視線は目の前のあの馬鹿を
見てたけど、思考は前川さんに
むいてた。
馬鹿になった気がする。
思考を一つの対象にしか
向けられないなんて。
でも悪い気分じゃない。
「あーなんか笑ってるー。
また悪いこと考えてたんだろ。」
コソッと言う康人に笑顔を
むける。
表向きは『いい人』なんだから。
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