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痛い、痛い。
私の上に影ができる。
視線をあげれば副会長がいて。
「前川さん。」
「ん?」
「どうしたの?」
大丈夫、と言おうとしたのに。
「千絵。」
そう呼ばれた瞬間。
視界が滲むのが分かった。
「痛い…足、痛いよ…。」
「全く、馬鹿な子。」
ふっ、と笑う声が聞こえて
次の瞬間、体が浮く。
お姫様だっこされてる。
「保健室行くよ。
泣き顔、見られたくないなら
顔、伏せときな。」
優しい声。
思わず甘えるように顔を埋める。
何事かと話し掛けられるが
副会長が、足を捻ったみたい
だから、と言ってくれて。
温かくて。
落ち着く。
いつもは意地悪なのに。
こんな時ばっかり優しい。
保健室のソファに丁寧に
おろしてくれた。
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