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「悪いこと考えてる顔してる。」 じとり、と疑わしげな瞳を 向けられる。 思わず笑いが漏れる。 「悪いこと、なんて失礼だな。 ただ…。」 「…ただ?」 聞きたいの? 後悔しちゃうかもよ。 細い手首を強い力で掴む。 「雅、弘…っ?」 まだ呼び慣れないのか すこしぎこちない。 そんな所も全部、全部。 「全部可愛い。 俺だけのものにしたい。 心だけじゃなくて手も足も、 髪も言葉も、視線も。 俺だけのものになればいい。 そうしたら俺も全部を あげられるのに。」 戸惑ったように目を開く千絵。 あぁ、ちょっと怯えさせたかな。 「ねぇ、そう思わない?」 「そ…そんなこと聞かれても。」 そんなこと出来ないってこと くらい分かってる。 でも本音だよ。 .

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