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さてさて。
琥珀のオッサンの要件を聞いてやる?
フロリダに行ってやってもいいかな。
写真1枚が10万円だから。
ウハウハ~♪
写真集でも何でも好きにしてくれぃ!
ん?
もしかしたら??
オッサンって???
ソッチケイ?????
んなわけないよな。
ないさ。
ない!
たぶん。
ない。
ヤッバッ!!
襲うならチィ兄にしてくれよ。
俺はミッキーと仲良くするね。
あの耳。
まん丸で大きな耳。
触ってみたいんだよ。
てへへ。
春休みが楽しみだね。
ディズニーランドか。
何年も行ってないな。
お父さんが生きていた頃はよく行ってた。
しーのお気に入りだからね。
お父さんはしーに厳しかったけど、それ以上に優しかった。
俺も、たくさん甘えればよかった…。
息子なんだからさ。
お父さんに厳しくされると、しーはいつも泣いて俺のところに来た。
羨ましかった。
俺なんて、一度も叱られたことがないんだよ。
いつも優等生だったからね。
なんで窮屈な生き方ばかり選んじゃうんだろう。
素直なガキだったら、俺も、しーのようにお父さんに愛されたかな。
嫉妬なんて。
俺らしくないね。
小さい頃は俺も、パン屋になりかった。
だけど。
工房にはいつもしーがいた。
たまに、アオ兄もいた。
あそこに、俺の居場所は無かった。
しーはパンを捏ねていたね。
そのパンを焼いているお父さんは楽しそうだった。
もちろん、売り物にはならないよ。
それでも、幸せそうに笑っていた。
窯から出したパンをお父さんがカゴに入れてくれた。
そのカゴをリビングに運んできたしーは、誇らしげに自慢とかしちゃってたね。
焼きたてのパンの香りがリビングに広がる瞬間がたまらなく嬉しそうだった。
あの頃から、パン屋になると思ってたよ。
カゴはお父さんがしーの為に用意してくれたものだろ。
おまえ、忘れちまったのか?
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