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「…そう言えば、ここはどこだろう。」
何も考えずにとっさに走ってきた私は、今庭のようなところにいるが、
完全に迷子になっていた。
「この学校大きいから分かんないよ…。早く寮にも行かないと駄目だし…。」
「…あなた、こんなところで何をなさっているの?」
途方に暮れていると、後ろから声がした。
振り向くと、顔立ちの整った綺麗な女の子がいた。
「あの…えっと…。」
「見かけないお顔ね。お名前は?」
「えっと…相原夏名です。」
「相原…?相原なんて先生、いらっしゃったかしら?」
今思い出した。
私は、学園内では宮嶋夏名なのだと。
嫌なことを思い出して、私はまた気分が暗くなった。
「…あ、あの…み、宮嶋夏名…とも言います。」
「宮嶋…と言うと、あの新任の先生があなたの旦那様ですの!?」
「…はあ、まあ…。」
私は素っ気ない返事をした。
「新しく入った先生がとても素敵な方だと、学園でもとても有名でしたのよ。一体誰の旦那様になるのかと話題が持ち切りでしたわ。」
「そんな良い人じゃないです!あの人は!」
私は力強く言った。
「あなた…新任の先生が旦那様ということは、もしかして編入生…?」
「…そうですけど…。」
「まあ!とても素晴らしい方なのですね!宮嶋先生に相応しいお人だと、皆も納得しますわ!」
「…あの…、でも私…。」
「これからご一緒に寮に戻って、大広間でお話でもしません?」
私は、寮まで行くのが好都合だったので、この女の子の誘いに乗って、寮に向かった。
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