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私は色々と考えながら、本館の5階まで来た。
「あ、ここだ。」
大きく立派な扉の上に、『学園長室』という札があった。
私はノックをして、入った。
「…失礼します。」
そこには、学園長らしき40代くらいの綺麗な女性が大きな椅子に座っていて、
またその女性の前に、スーツを着た若い男性が立っていた。
「あなたは…?」
女性が私に尋ねた。
「あっ!あの私、編入生として今年からこの学園に通うことになった、相原夏名です!」
「ああ。例の編入生ですね。待っていましたよ。こちらへ来なさい。」
私は言われた通り、学園長の目の前まで移動した。
「では、この職員を紹介します。これからこの職員が、あなたの担当の宮嶋です。」
「宮嶋成人(みまじま なりと)です。よろしく。」
「……え、あの、担当…ってどういう意味ですか…?」
「あら、あなた、ご両親からこの学園の説明を聞いてるのでは?」
「いえ…全く何も聞いてないんですが…。」
学園長は驚いた顔をした。
「本当に?何も?」
「…はい。何も…。」
学園長と宮嶋先生が、顔を見合わせた。
学園長はやれやれと言わんばかりに、説明を始めた。
「…では、仕方がないので必要なことだけ説明します。
本校、アンナ女学園では良き妻を育成させる教育をしています。」
「…!?つ、妻!?」
私はびっくりして転びそうになった。
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