霧生古書堂

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########## そんな事があって 午後・12時過ぎ。 買ってきたハンバーガーをレンジで温めなおし、かぶりつきながら彼はなんとはなしにアルバイト情報誌に目を通していた。 しかし、どうして温めなおしたポテトというのはどうにも美味しくないんだろう……… と。情報誌とは関係のない事を考えながら。 実際問題、就職していた期間の収入は底をつきかけている。 遊びに行くにも金はいるし、何かしら仕事をしないとマズイのは事実だ。  彼の母親は、無職に小遣いをくれるほど甘くもない。 「ん………?」 他の物を頼めばいいものを、「飲み物は?」と聞かれた際につい「コーラで。」と答えてしまった…………そのコーラを口に運んだ時、一つの求人情報が目に留まった。 他は写真付きや、イラスト入りで分かりやすく掲載されている中、黒い地に文字が三行。 『     霧生古書堂       年齢不問       経験不問       』 …………それだけ。 黒い背景に、なんの装飾もないその三行。 時給もなにも書いていない。 意味もなく裏から透かして見たりもしたが………裏側は、パチンコ店のスタッフ募集のでかでかとした求人広告が塞いでいるだけだ。 …………まぁ、たかだか求人誌に、スカシなんて細工がされてても怪しいが。
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