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「ちょ――!待……て……」
瞬間、一層輝く光りに飲み込まれた史翔は突如として眠気に襲われ、そのまま意識を手放した。
―――――――――――――――
SIDE:史翔
真っ暗な空間。
まるで水中を漂うように俺は意識を取り戻していた。
(身体は……動かないか……)
力がまったく入らないし、どうして俺がこんなところにいるのかと頭の中がごっちゃになってくる。
(なんだ………)
ただ寝坊して、それだけでいつもと同じような日々が続くはずだったのに。
(なんなんだよ……!)
『………ごめんなさい』
パニックに陥り、発狂しそうになる俺のもとに一つの声が届く。
それは、男性のようで女性のように、子供のようで大人のように、人間のようで人間ではないかのような矛盾を多く孕んだ声。
(なんだっ!?誰なんだよおまえは!)
叫びたい。叫びたいのに俺の喉は震えず声を発しない。
『あなたを巻き込んでしまった……。僕は本当に許されない事をしたんだよ』
矛盾した声は独白みたいに続けながら何かに願うように、何かを望むかのように。
『でも、あなたに頼みたい。僕の世界を――僕を助けて!』
(その前にお前は誰なんだぁ!!)
もはや悲鳴に近い俺の言葉は矛盾した声に届かず、意識が遠退き始めた。
(お願いだっ!!待って、待ってくれぇぇえええ!!!)
ブラックアウト
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