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「……がっ!ぐぅうぁ……!」
痛い……!痛い痛い痛い痛い痛い!!!
叩きつけられた拍子に折れただろう左腕が、強打した背中が、攻撃が直撃した腹部から熱のような痛みが身体を支配していく。
『ガァァアアアアアァァアアアアアアア!!』
ズン、ズンと化け物が地を踏み鳴らして迫ってくる。
怖い怖い怖い!
それなのに身体が激痛によって言う事を聞いてくれない。
辛うじて顔をあげて化け物を確認したとき、化け物はその長く鋭い爪を張り上げていたところだった。
「………ああぁ…」
鬱蒼と茂る森に微かに差していた日の光が爪を鈍く輝かせて俺の本能にさらに恐怖を植え込む。
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ?!!」
もう自分で何を叫んでるかさえわからない。
ただ、"死"というものだけを再び脳にガリガリと刻み込まれたのだけがわかった。
『アイスニードルゥ!!』
それがついに振り下ろされようとした瞬間、誰かの声が響いた。
『ガァァアアアアアァァアアア!?』
そして次の瞬間には地面から生えた氷の槍が化け物を貫き、悲鳴を聞いたところで俺はとうとう意識を失った。
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