満月の夜に

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車の中では どこに行こうか、なにが食べたいかと はしゃく亀梨 俺の我慢もたいしたもんだと褒めたくなる 結局いつものイタリアンで食事を済ませ 帰えろうとしたとき 「…今日、満月だね」 亀梨がネオンの光よりも 儚く輝く月をみて つぶやいた 「ねぇ、知ってる?女の人って月見ちゃダメなんだって 月を見てると寂しい気持ちになるんだって」 いきなり何を言ってるのかわからなくて 「そ、そうなんだ」 なんて答えがほしいのかわからないまま 適当に返事をした でもそんなのお構いなしに 「…俺も寂しくなるな、じん」 やっぱり何が言いたいのかわからない亀梨に まだ一緒にいたいと考えてた俺は 「月でも見に行こうか?」 なんて ありふれたことしか言えなかった このときの亀梨の気持ちなんて読み取れなかったから
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