始動

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「ん、ん゙んっ!げほんごほん!」 俺が愁の頭を撫でていると、あからさまな咳払いが聞こえてきた。 咳払いの聞こえた方を見ると、望は顔を真っ赤に、一成はほのかに顔を赤く染め、拳を口元にあてていた。 「あー…、もうそろそろ練習を始めたいんだが…」 「ああ、わり」 そんな一成の言葉に軽く謝り、愁と一緒に2人の近くに行った。 「んーじゃあ、とりあえず一回合わせてみるか」 「ああ、そうだな」 「いーよお」 「…ん」 一成の掛け声で演奏が始まり、そこに声を乗せる。 不思議だ。 ずっと一緒にいる仲間と音を合わせているように、呼吸がぴったりと一致する。 この3人と、ついこの間会ったというのが嘘のようだ。 …気持ちがいい……。 .
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