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やっとの事で七夜は屋敷の前へと辿り着き、インターホンを押す。
今回は正面から入る様だ。
押してから暫くし、インターホン越しに女性の声が聞こえる。
「どちら様でしょうか♪」
気分が良いまま話しているのか…はたまたコレが素なのか…。
兎に角、脳天気な声だった。
「遠野志貴に用事が在って来たんだ。
―――兎に角、会わせてくれ。」
「志貴さんにですか??
――分かりました。どうぞ、お入り下さい。」
七夜は門を開け、玄関の前に立つ。
ドアノブに手を掛けて引くが、開く気配は全く無い。
「――ハッ。了承して置きながら、客を閉め出すとは。
随分な接客態度だな、秋葉???」
七夜は後ろを振り向く。
「―――兄さんに何の用ですか、志貴。」
其処には、髪を紅に染めた秋葉が立っていた。
彼女は相当警戒している様で、一向に静まる気配は無い。
「何の事も無い。
徒のお遊びに誘いに来た迄さ。」
――と、七夜が答える。
目的が雪合戦だ、確かに"お遊び"に違い無い。
しかし、秋葉は"殺し合い"の意味で受け取っていた。
「なら、私を倒して行きなさいッ!!!!」
言い終わらない内に、秋葉が飛びかかる。
「……どうやら酷く勘違いしている様だな…。」
はぁ、と小さく溜め息を吐きながら、秋葉の猛攻を避け続ける。
「仕方が無い…少し、大人しくしていて貰おうか。」
七夜から少しばかりの殺気が滲み出る。
一方、白レンは……
「七夜……遅過ぎよ!!!!!」
――等と言いつつも、雪達磨の製作に精を出していた。
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