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ふ――と短く溜め息を吐く、遠野志貴。
彼等は七夜に半ば強制的に連れられて来た為、雪に対する対策がなっていなかった。
"強制的"と言うのは…七夜曰く、"是が非でも連れて帰らなければ後が怖い"からだそうだった。
「急過ぎると言うか、何と言うか…。」
そう言って、志貴は傍らのレンを見る。
レンは主人の視線が気になったのか、志貴の顔を見上げて見つめ始める。
「まあ、兎に角頑張ろうか、レン。」
レンの頭を軽く撫でて、志貴は言った。
「…………………………。」
彼女は微かに頬を赤く染め、視線を戻す。
一方――――七夜組。
「なあ、コレ……意味、あるのか???」
七夜が呟く。
「五月蝿いわ、黙っていて!!///
良く見えないじゃない!!//」
双眼鏡を片手に白レンがヒステリックに言った。
―――白レンは、七夜に負ぶさっていた。
二人の位置は小高い丘の上。
こんな事をしなくても、十分に見える筈だった。
"私の背では遠く迄見えない。"
それが白レンの言い分だった。
(一体何処迄見る気なんだ、この娘は…。)
白レンに聞こえない様、小さく溜め息を吐く七夜だった。
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