~第三章~

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「いえ、これは外面ですよ。偉い人に会いに行くときや、戦場に行くときはこの顔です。僕としてはまだ少年でいたいですから、局長や副長といる時が一番過ごしやすいですし、言いたいことが言えますから。」 龍華の探りを入れるような問いに、真面目な顔で答えた沖田。 「あははっ!素直ですね。敵かもしれない私にそんなに素直でいいんですか?」 「もし、敵であったのなら、この菊一文字で斬り伏せるまでです。」 笑っていた龍華へ一瞬だけ殺気を当て、自分の右脇に置いてある、菊一文字の柄に触れた。 「…で?てめぇは一体何者だ?俺達をここまで騙せたのは坂本以来だぜ。」 今にも眼前の獲物に飛び掛りそうな狼の顔をしていた土方が、沖田と龍華の話に割って入った。 「そんな獲物を狙う、狼のような顔をされても困りますよ。土方さん。」
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