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平凡な毎日
ただただ何も変わらず過ぎて行く
そんな高校3年生の春
貴女はこの学校に来た
俺の席の隣りに座る貴女
「初めまして」と言いニッコリ微笑む君は
とても優しい笑顔をして
無関心なはずの俺は
ドキドキした
教科書が無いからと君が言うから
俺は焦りながらも
君に机を寄せて教科書を見えるようにした
君が「ありがとう」と言ってくれるのが嬉しくて
いつしか君の為に色んな事をしていた
君の為なら何でもできた気がした
気持ちは大きくなって
胸が張り裂けそうだった
君の顔を見てる事ができなくなり
声を掛ける事すらできなくなった
なんでだろう?と思って君に聞いてみた
君は「私の事好きになったんじゃない?」
と笑いながら言った
でもその言葉が自分の中でしっくりきて
これが「恋」なんだと初めて知った
だから伝えた
気恥ずかしかったけど
貴女に精一杯の気持ちを伝えた
君が「私も」と照れくさそうに言ってくれて
心踊った
誰かが「初恋は実らない」と言っていたけど
そんな方程式はハマらないとわかった
いっぱい遊んだ
いっぱい出掛けた
いっぱい笑い合った
ずっと幸せにすると誓った
だから「好きだよ」と君に微笑みながら言った
微笑み返しながら「うん」と言う君の笑顔を見る
それだけで幸せだったんだ
夏、秋、と季節は過ぎていった
そんな冬のある日
君が倒れたとの連絡があったから
無我夢中で病院に向かった
病室に辿り着いて見た君の姿は
衰弱しきっていて
それでも微笑みながら
「ちょっと治りにくい風邪引いちゃったみたい」と言う
離れたくなかったから
君の冷たい手を握ったまま
一晩を過ごした
朝起きて「おはよう」と君に言う
その返事は返ってくる事はなく
冷たいものが俺の頬を伝わって
ただ強く抱き締めた
その身体にはすでに温もりはなかった
永遠を貴女と
永遠を貴女と
毎日思っていた
君と過ごした日々は走馬灯のように頭に流れる
最後に貴女が俺に伝えた言葉は
俺が好きだった…
微笑みながらの「ありがとう」だった
そんな貴女に伝えた俺の言葉は
「初恋をありがとう。幸せをありがとう」
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