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 北に王国、西に山岳を挟んで連合国。その他の中小国家と隣接して成る、エレクシア共和国。  戦争という戦争をした歴史は遙か遠く。水面下に渦巻く争いはあれど、人々が過ごすのは平和という言葉すら出ない程の平穏な日々。 「あー……」  そんな共和国の首都、ジニカの中にある居住区に寄り添うようにして、その学校はあった。 『魔法学から魔訶学、魔法生物学、“魔学”に括られるあらゆる学問を学べる素晴らしき学び舎』  というのが売りの、国立ロットハイガー学園。  ロットハイガーというのはこの国が王国であった時代の王の名前であり、共和国が今年で設立五百周年を迎えることを知るだけでその歴史の深さが窺い知れる。  他国民にも門扉を開くその学園。魔学を学ぼうとする者は誰しも一度はそこで学ぶことを夢見るだろう。 「ああ……」  国の誇る素晴らしき学び舎。 「憂鬱だ」  彼は、在籍して二年目に突入しても一度もそんな事を思ったことはなかった。
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