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朝、学園の正門前は大勢のクロークの集団で賑わう。
各々釣り鐘のようなシルエットを揺らし、友人と、あるいは恋人と談笑でもしながら。古めかしい細工の施された大きな門を潜り抜けていく。
その門の造形の美しさ。それから学園の敷地を囲む高い垣根から、そこはまるで植物園の入り口のような雰囲気を持っている。
「学生証を拝見」
巨人も易々と通り抜けられるだろう門を潜ると、その両脇には二人の門番が待ち構えている。
亜麻色の髪を一本に括り背に垂らす彼らは、まるで鏡に写したようにそっくりの容姿。同じ人間が喋っているのだと思わせる程にそっくりな声で、生徒達に学生証の提示を求める……魔学の専門学校とも呼べるここには、魔学に関する貴重な資料も多い。売るところに売れば一生遊んで暮らすこともできるので、それを狙った輩がたまに入り込むのだ。
なので、よほどの事がない限り部外者は入れない。
学生証か教員証を提示しなければ、この双子、オーキーとドーキーが通行を許さないのだ。
門を抜けるまでは雑然としていたクロークの集団が、彼らの前に着くまでにはすっかり二列に並び終えている。
生徒達は特殊な魔訶学加工の施されたカードを双子どちらかに見せ奥に進み、双子はただそこに立ち、流れ作業のように生徒達を通していく。
一つの集団の流れが途切れるころを見計らい、彼は双子の片割れに近付いた。
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