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 合間。双子の片割れの周りには丁度生徒がおらず、その場には彼と片割れだけ。  彼はクロークの下から淡い緑の学生証を出して片割れに提示したが、片割れはどうしてだか上の空で、彼の学生証を見ていない。  いや、彼自体を見ていない。 「おい、ドーキー」  彼が学生証を下げ酷く事務的に声を発すると、ドーキーと呼ばれた片割れはびくりと体を強ばらせ、今度こそ目の前の彼を見ると何回か瞬きを繰り返した。  その仕草はまるで、今の今まで彼の存在に気付いていなかったかのようである。  見た目は生徒達の大して変わらない、青年のなりをした門番は、猫のような吊り目を細めて人懐っこいが気味の悪い笑顔を浮かべた。 「やあ、失礼。見ない顔だね、編入生かい? 職員室は――」 「お前から職員室の場所を聞いたのはこれで三百と七十回目だ」  ドーキーの言葉を遮り、不機嫌そうに彼は言う。ドーキーが理解しがたいという顔で再び瞬きをすれば。 「身長は百八十五センチ。体重は六十二キロ。好きなものはパズルとラズベリージャムの入った紅茶。嫌いなものはピーナッツバターサンド。得意な分野は空間学。それから……」  つらつらと。薄い唇から滑るように上げていくのは、彼の目の前にいる門番のプロフィール。
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