18人が本棚に入れています
本棚に追加
うっ…
くっ…くさっ………
カノンは接近してきた中学生のクセにがき大将、に話しかけられ、眉をひそめる。
がき大将からは、
恐らく1本は使っているであろう香水の強烈な香りが漂ってきたのだ。
「悪いけど僕急いでるんだ。あと…構ってくれなくていいから。」
カノンは言い捨てると何か言い返される前にサッサと教室へ走った。
とり残されたがき大将は頭をポリポリと掻く。
そして廊下を見渡した。
「ローイ。何してるんです。まったく……あなたに任せたのは失敗でしたか。」
廊下の角の向こうで、物静かな声が聞こえる。
がき大将、いや、ローイは後ろを振り返り、角を曲がった。
「それは言い過ぎなんじゃないのか?ファン。俺だって……なぁ、今の見てたんだろ?」
ローイは両手を大きく広げて首を傾げる。
しかし、ローイと向き合っているファンは肩まであるストレートの黒髪を右手で払い除け、眉をひそめた。
「もちろん見ていました。…だから言ってるんですよ、ローイ」
ファンは鋭い赤い瞳を光らせ、ローイを睨みつけた。
「誰が怖がらせろって言いました?…はぁ…もう良いです。」
「おっ…オイオイ!待てよ、さっきはしくじっちまったけど、次は上手く行くって。」
ファンの言い草にローイは腹を立て、
慌てて身を乗り出した。
ローイの慌てっぷりにファンは腕を組む。
「何甘ったれた事言ってるんですか。
あなたに次はありません。前にも言ったはずなんですけど、……まぁ、あなたの脳みそなら覚えていなくても仕方ないかもしれませんね」
ファンはニッコリとわざとらしく笑うときびすを返した。
「じゃ…じゃあお前がやんのかよ!」
ローイの問い掛けにファンは答えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!