第一章†覚醒†

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あいつ… ローイ・クローズ…だっけ…… カノンはHR中にさっきの赤毛のがき大将の本名を思い出していた。 不良で有名な…ローイ。 ここ何日かずっと僕に構ってきてるんだよなぁ… はっきり言って迷惑。 なんせ、行きも帰りも1度は会うし、 休み時間も休みなく教室にくるのだ。 すでに休み時間じゃないよなぁ…… 「以上。……こら、カノン!!」 「へっ……?」 カノンを呼んだのは先生だった。 カノンはすぐ様立ち上がり、先生を慌てて見る。 「お前、本当いつも余裕だよな。」 すぐ隣の男子がカノンに言う。 瞬間、カノンの脳裏に男子に言い返せと浮かんできたが、 カノンはそれを無視して両手をブンブンと胸の所で振った。 「余裕ッ…?な訳無いじゃん、僕頭悪いし」 カノンは慌てて言ったが男子はカノンの対応が面白かったようで、 カノンのマネをしてクラスメイトに見せると、 「おーい、皆!<僕頭悪いしぃ~>だって!」 男子はかなりナヨナヨしながらマネし、 ゲラゲラと笑う。 それに同調して、クラス全体が大笑いした。 胸くそ悪い………… カノンは締め付けられる胸を掴む事もままならないまま 椅子に無言で座る。 あの時、言い返せばよかった。 思えば、いつもこんな感じだった。 この一般的な学校にお坊ちゃまが居るのは そりゃもちろんおかしい気がするのも分かる。 --…だけどさ、これはあんまり過ぎないだろうか。 そりゃ僕がお坊ちゃまっぽく無いからまた腹が立つ、 というのも納得はする。 するけどさ………… カノンはこういう時、いつも思うのだ。 こいつらに言い返せたら良いのに、と。
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