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あいつ…
ローイ・クローズ…だっけ……
カノンはHR中にさっきの赤毛のがき大将の本名を思い出していた。
不良で有名な…ローイ。
ここ何日かずっと僕に構ってきてるんだよなぁ…
はっきり言って迷惑。
なんせ、行きも帰りも1度は会うし、
休み時間も休みなく教室にくるのだ。
すでに休み時間じゃないよなぁ……
「以上。……こら、カノン!!」
「へっ……?」
カノンを呼んだのは先生だった。
カノンはすぐ様立ち上がり、先生を慌てて見る。
「お前、本当いつも余裕だよな。」
すぐ隣の男子がカノンに言う。
瞬間、カノンの脳裏に男子に言い返せと浮かんできたが、
カノンはそれを無視して両手をブンブンと胸の所で振った。
「余裕ッ…?な訳無いじゃん、僕頭悪いし」
カノンは慌てて言ったが男子はカノンの対応が面白かったようで、
カノンのマネをしてクラスメイトに見せると、
「おーい、皆!<僕頭悪いしぃ~>だって!」
男子はかなりナヨナヨしながらマネし、
ゲラゲラと笑う。
それに同調して、クラス全体が大笑いした。
胸くそ悪い…………
カノンは締め付けられる胸を掴む事もままならないまま
椅子に無言で座る。
あの時、言い返せばよかった。
思えば、いつもこんな感じだった。
この一般的な学校にお坊ちゃまが居るのは
そりゃもちろんおかしい気がするのも分かる。
--…だけどさ、これはあんまり過ぎないだろうか。
そりゃ僕がお坊ちゃまっぽく無いからまた腹が立つ、
というのも納得はする。
するけどさ…………
カノンはこういう時、いつも思うのだ。
こいつらに言い返せたら良いのに、と。
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