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‡腹が立つだろう…何なら私が言ってやっても良いぞ。‡
何か、聞こえた。
カノンは周囲を見回す。
周りにはまだ笑っているクラスメイトしかいない。
先程の声は透き通った少し高くて力強い女の人の声だった。
‡どこを見てる。私はお前の中に居るんだ。周りの奴らと一緒にしてもらっては困る‡
「あっ…?あ……す、すみません」
カノンがいきなり謝ったのでクラスメイト達はまた馬鹿にして笑う。
もぅ、本当ムカつく!
カノンが強く思った時だった。
「…うるせぇ」
カノンは言葉もなく隣の男子生徒を見た。
鋭い眼光で。
「………へ?」
もちろん男子生徒はポカンとカノンを見た。
そう。
皆に一喝したのはカノンだったのだ。
「うるせぇっつってんだよ。
馬鹿みてぇに笑いやがって…。俺がしたでに出たら出たで調子に乗るしよ。」
カノンはとても自分がこんな台詞を吐いているなどとは思えず、
心の奧で驚いていた。
表には自分じゃない誰かが出ていて、
体の自由まで誰かに奪われている。
そして、今までカノンが奴らに対して思っていた事を全て言ってくれたのだ。
カノンはどうしても意味が分からず、
自分の体の奧で考えを巡らせた。
まさか、アレ…!?
カノンは思い当たって確信した。
最近、世の中で有名になっている話しがある。
それは[転生者]というもので、誰にでも前世があるのと同じでその前世が人だった時に、
その前世の人[前世者]の魂に宿られた人の事を[転生者]と呼ぶのだ。
そして、[前世者]に話し掛けられた時の事を†覚醒†と呼ぶ。
カノンは頷いた。
これは…†覚醒†だ……
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