第ニ章†失者は賢力を欲するもの†

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一口、上品に紅茶をすする。 甘い香りが鼻を抜け、爽やかだった。 「母さん…僕、もうあの学校には行きたくないや…」 カノンはボソッと言うと反対側のソファーに座った母を仰ぎ見た。 「!………何かあったの?学校は替えてもいいわ。でも、ちゃんと訳を話しなさい。」 母に言われ、カノンは紅茶を見詰める。 訳、といわれましても…… 「べつにオッドアイの事じゃないんだ。ただ……何というか……」 口ごもるカノンに、母は心配そうに 「…分かったわ。あの人が帰るのは8時だから、それまでに訳をまとめなさい。 じゃないと転校させてあげませんからね」 最後にキッチリ忠告を残し、母はキッチンへ向かっていった。 カノンはつくづく真面目な家だよなぁ…と 思いながら紅茶の水面を見る。 ゆらゆらと水面が揺れる。 カノンは大きく溜息を吐いた。 「なんて言おう……?[転生者]だって話し、した方が良いかな……うー」 母から課せられた内容を考えるカノン。 正直言ってこんな事を言われたのは初めてだったので、 少しとまどったカノンであった。 「そういえば、校門に立ってた人…生徒には見えなかったなぁ」 そうだった。 黒髪を肩まで垂らし、血に似た赤い瞳でカノンを見詰めていた。 確か、190㎝はあったよなぁ……… 身長。 「誰が?」 問うてきたのは母だった。 キッチンからでも聞こえるらしい。 「あ、うん…。帰って来る時、校門でヘンな人を見たんだぁ」 カノンの報告に、 母は皿洗いをしながらカノンを振り返る。 「不審者かしら…?何かされた?」
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